2016年12月27日火曜日

2016年の手作りクリスマス菓子を振り返る



2016年12月、3つのクリスマス菓子を作った。
シュトーレンと苺のミルクゼリー、苺のショートケーキ。昨年の12月に作ったのは一つ(苺のタルト)だったので、前年と比べて3倍、急伸といえる勢いだ。趣味で料理を楽しむアマチュア、かつ四十男にしては、この忙しい師走の時期にけっこうな数のクリスマス菓子を作ったほうかもしれない。

特定の宗教を持たない夫婦二人暮らしの私たちにとってクリスマスは、毎年訪れる風物詩の一つという感じである。ほしいプレゼントが書かれた手紙を受け取ってサンタの格好をすることはないが、クリスマスの夜には共に穏やかな時間を過ごしたいと考える。その食卓に、デザートとしてお菓子やケーキなどの甘いものが添えられるのを幸せなことだと思う。

そしてここ数年、その料理やお菓子を手作りすることが楽しいと感じるようになっている。
なぜ、そんなことが楽しいのだろうか?
理由をいろいろ考えてみるのだが、まず、真剣に作ることでそのつどちょっとしたコツのようなものが体得できて、回を重ねるごとに上手になることを実感できる、というのが大きい。これは料理というものが私の性に合っているのだと思う。今年、チームの同僚として料理好きの男性が加わったのだが、彼が近いことを言っていて共感した覚えがある。

また、手作りの料理やお菓子作りは、「ありがとう」の気持ちを伝える手段でもある。
私の場合、その相手はまず何よりも妻である。十年のあいだ二人暮らしを健やかに、楽しく続けられているのは言うまでもなく妻がそばにいるからだ。
そういう気持ちは、世の既婚男性なら誰もが感じていることだと思うが、滅多に表に出さずに貯めに貯めている人も多いのかもしれない。

しかし、あんまり貯めすぎていると、いざ伝えようとするとき大変大がかりなものになってしまうのではないだろうか。それに哀しいことだが、相手がいなくなってから初めて気づいて後悔する、というようなことも世のなかにはあるようだ。私はそうなるよりも、暮らしのなかでときどき形にして伝えたいと思うほうである。だからこれからも手作りの料理やお菓子を作っていくことを続けていくつもりだ。

年末ゆえか前置きが長くなったが、今年クリスマス菓子を作っていくうちにつかめたものが見えてきている。このあたりで一度振り返っておこうと思います。



1.シュトーレン

ドイツの伝統菓子、シュトーレン。初めて作った。作るどころか、これまで口にする機会も数えるほどしかなかったので、作ってみるまでどんな味がするものなのか、正直ピンと来ていなかった。
クリスマスにかけて少しずつ切って食べる、だんだん美味しくなってくる、という食べ方に面白さを感じてやってみたという具合。
焼き上がり、切る前の姿は何というか、ドイツらしい重厚さを放っていた。ひと目見た妻からは「これは…古墳に見えるね」「…ダイオウグソクムシ?」などとひどい言葉を浴びせられ、若干へこんだ。
しかし、数日後にカットして食べてみると、なかなか味わい深いものだった。外側がカリッと、中はしっとりしている。洋酒に漬けたドライフルーツの味が染み込んでいて、特に自分の好みでたっぷり入れたオレンジピールがさわやかだった。カルダモンやナツメグが隠し味のように効いて、確かにちょっと特別な菓子だと実感する。これは成功であると言えそうだ。来年もまた作りたいクリスマス菓子である。

参考にしたレシピはこちら。
基本のシュトーレン




2.苺のミルクゼリー

妻の実家で料理の話をしているとき、お義母さんが「昔買って何度か作ったけど今は使っていないから」とプラスチックのリング型を持たせてくれた。調べるとタッパーウェアのファンシーリングというもので、レシピもあったので、妻の親戚が遊びにくるというときに作ってみた。
これが大好評だった。味は誰もが食べたことのあるようなミルクプリンで、真っ赤な苺が見た目にもインパクトがあるというのがよかったのかもしれない。作り方はあまりに簡単だったので、美味しいと言ってもらえて拍子抜けをしたくらいだった。往々にして、作る側が凝ることと、食べる側が美味しいと感じることとは比例しないものなのだろう。
唯一の難点は、このリング型、けっこうな大きさがあるということ。我が家にある最も大きな27cmのディナープレート皿にもおさまりきらないほどの巨大プリンができる。今後登場させるには、大皿が必要だ。

レシピはこちら。
ミルクゼリー&いちごソース



3.苺のショートケーキ

苺のショートケーキを作ることに決めたきっかけはTwitterだった。クリスマス当日に妻の両親と妹が来ることは決まっていたから、事前に大まかなメニューを組み立てていたのだが、デザートを何にするか今ひとつ決めあぐね、モヤモヤとしていた。
クリスマスイブの前日だったか、何気なくひらいたTwitterで知人が「生クリームのホイップたっぷりの完璧なショートケーキが食べたい。そう、完璧なショートケーキだ」とつぶやいているのを見つけた。そのツイートで、そうだ、自分はショートケーキを作りたかったのだ! と腹が決まった(@makitaniさん、背中を押してくれてありがとうございます!)。

ショートケーキはシンプルなようだが、いざやってみるとかんたんではなかった。
まず、一度めのスポンジはまったくふくらまず、薄っぺらくかたいフリスビーのような代物になってしまった。何かがおかしい…と複数のレシピをいそいで読み込んで、卵の黄身と白身を分ける、混ぜすぎない、溶かしバターはあたたかいうちに、などさまざまな記述を参考にして再チャレンジ。ようやくふっくらとふくらむスポンジを焼き上げることができた。

スポンジだけではない。生クリームも最初は硬くてスポンジの上でまったく伸びなかった。焦るなか、材料をそろえるとき富澤商店の店員さんにアドバイスされたことをはたと思い出し、牛乳をすこしずつ加えて生クリームをなめらかにした。
加えて、側面に生クリームを塗るのがひどくむずかしかった。なるほど、こんなときにケーキ台というものがあると塗りやすいのか、などと気づいたときには、すでにゲストが来る30分前だった。

そういうわけで労作となったショートケーキ、初めてにしては上出来だと妻の両親、妹にも喜んでもらうことができた。確かに味は美味しいと、一息ついて改めて食べてみて、改めて思った。

シンプルで王道なだけに、何度か作ってもっとうまく作りたいと心から思える相手である。クリスマスにかぎらず、他の場面でも作るタイミングがありそうなので、またやりたい。

参考にしたレシピはこちらなど。
 いちごのショートケーキ
失敗しない!簡単ショートケーキ